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建築家目線

東京カテドラル聖マリア大聖堂

 1964年に完成した教会堂です。
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私自身、最も好きな建築のひとつです。大学生の頃は何度も訪れ、何度も結婚式や葬儀を傍らで見ていました。これを設計されたのは、ご存知の通り、丹下健三さんですが、丹下さんの葬儀も当然こちらで行なわれたようです。2005年の春でした。
 献堂40周年をきっかけに大改修が行なわれ、2007年の秋に本当に美しくなりました。トップライトの断面形状が多少変ったようですが、正直なところ随分外壁も傷んでいたし、雨漏りの形跡も随所に見受けられていたので、この大改修は嬉しくてたまりませんでした。去年、たまたま通りすがりに立ち寄りました。天気も良く、最高でした。
 丹下健三さんと言えば、国立代々木競技場もすばらしいのですが、個人的にカテドラルが気に入っています。代々木の体育館は吊り屋根構造で、カテドラルはシェル構造。建築関係者には当然の事ですが、少々解説をさせて頂きますと、東京カテドラル聖マリア大聖堂_d0156969_15155374.jpg
国立代々木競技場の屋根は、柱で支えているのではなく、吊り橋のようにケーブルで吊り下げられているのです。建物の端部には背骨にあたるメインのケーブルを引張り続けているアンカーの存在も見逃せません。とにかく、この発想はすごいですね。(コルビジェの元ネタがあるとは言われていますが、丸ごと体育館にするなんて、)力技です。
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カテドラルは、HPシェル構造なのですが、それって何?ですよね。
双曲放物面(2本の捩じれ2直線を定平面に平行な直線群で結んで得た曲面)って言われても…。何となく右下のイメージ図の面だと思って下さい。
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この面状の板が壁や屋根になっているのです。8枚が立て掛けられ、真上から見るとシェルとシェルの間が十字架型のトップライトになっていて、東京カテドラル聖マリア大聖堂_d0156969_1528565.jpg内部空間が荘厳な聖堂となってるのです。シェル構造が持つ膨らみがもたらす空間は小宇宙ともなり、ダイナミックな構造方法にも係らず、優しい建築となっているのだと思っています。




場所は文京区の関口です。「椿山荘」の斜向いです。観光用の教会ではありませんので、充分なご配慮のうえ、是非一度お立ち寄り下さい。時々はオルガンのコンサートを無料で楽しめる事もあるようです。
ホームページを紹介させて頂きます。
http://www.tokyo.catholic.jp/text/cathedral/katedoraltoha.htm

by sico-at | 2010-10-06 15:34 | 都市
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