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建築家目線

住宅の躯体

 先日、構造設計事務所の方と話をしていると、近頃は鉄がまたもや高くなってきて、鉄骨造と鉄筋コンクリート造の価格差が無くなってきているようです。勿論、一概には言えませんが、単純な比較として、以前はいわゆる坪単価で10万円程違っていた事もありました。その価格差が縮まっている事は工務店やゼネコンと話をしていても感じています。

 住宅を設計する場合、3階建て迄と考え、耐火基準を準耐火構造までとすると、木造で考えるケースが益々増える事でしょう。私も何度か3階建ての木造住宅の設計を行ないましたが、在来工法では1階部分での壁量の多さ、鉛直加重を受ける柱の多さに限界を感じていました。

 そこで、今さらではありますが、木造のラーメン構造も模索を始め、構造設計事務所とも協議をしましたが、オリジナルな方法で木造ラーメン構造を設計する事の難しさに改めてぶつかり、それならば認定工法で良い方法はないか、もう一度捜し直しました。
以前から、パナソニック電工の「テクノストラクチャー」工法と、NCNの「SE構法」が世に出されている事は解っていましたので、早速、そのレクチャーを受け、可能性を探りました。(もっと以前からしっかりとした検討をしておくべきだっかも)

<テクノストラクチャー> http://group.panasonic-denko.co.jp/pewjtst/
<SE構法> http://www.ncn-se.co.jp/

これらの工法は木造(テクノストラクチャーは半木造)の準ラーメン構造で、純粋なラーメン構造ではありません。耐力壁は必要ですが、在来工法とは比較にならない程、壁量が少なく、構造根拠もはっきりとしています。長期優良住宅である事が一般化しつつあるなか、これらの工法はこれからの住宅設計には欠かせない選択肢になるのでしょう。

住宅の躯体_d0156969_10272643.jpg

(少し古い(2004年)雑誌です。逆に言えば、ますます利用されていることで認知されている安心出来る工法とも言えるのでしょう。)

 我が事務所でスタイルを考えると、「SE構法」の方が使い易いし、普段から考える「住まい」のあり方に合っているのではないかと思い、SE構法の構造研修会にも参加してきました。勿論、在来工法のより躯体費用は高くなりますが、安全性も高まります。鉄骨で考えるより、地盤に対する安全性も上がります。鉄骨との比較では躯体価格は、はるかに抑える事ができるのでしょう。
 3階建てだけではなく、2階や平屋の時も多いに利用する事で、国の掲げる良質な住宅の供給方針にも合致し、何よりも『心地良い住まい』になると思います。

by sico-at | 2010-06-25 10:12 | 設計監理
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